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腐った方向に愛をぶちまけるブログです。
たいてい腐ってます。
はじめましての方はカテゴリー内「初めにお読みください」の記事を読んでください。
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(ウッドの暴走)
その朝も僕は森に来ていた
毎日、近くの森に行って異常がないか確認するのは僕の日課になっている
朝の森の空気は澄み渡り木漏れ日が降り注ぎ足取りも軽くなる
様々な鳥の囀り、草花のにおい
僕はこの森が大好きだった
(あれ……?)
しばらく進むと聴覚センサーがなにか不自然な音を捉えた
甲高い金属音にかすかにオイルのようなにおいもする
(もしかして…!)
聴覚センサーを頼りに音の元へ走る
徐々に大きくなる不協和音
あまりの騒音に聴覚センサーの感度を一つ下げる
「…………!」
音の正体は工業用の森林伐採ロボットだった
電動ノコギリのような腕で、大切な森の木を削っている
「やめてよ!」
考える間もなく僕はリーフシールドを発動させた
電磁ビットを飛ばし、ロボットに攻撃する
ロボットがそれをかわせるはずもなく、まともに僕の攻撃をうけたロボットは機能を停止させた
その時の僕の中では、このロボットに対する怒りと、森を守れたという達成感が複雑に入り混じっていた
*******
その日の任務は、メタル兄ちゃんとクイック兄ちゃん、クラッシュ兄ちゃん、僕での4人の任務だった
任務内容はある工場のデータ奪取及び工場の破壊だった
事前データによるとそれなりに規模の大きな工場で、ガードロボットの数も多い
クイック兄ちゃんとクラッシュ兄ちゃんはガードロボットの排除、僕はメタル兄ちゃんがメインコンピュータからデータを読み込みメモリに保存するまでリーフシールドでメタル兄ちゃんを守る、最後にクラッシュ兄ちゃんがボムで工場を破壊するというのが今回の作戦だった
「予想以上にガードロボの数が多いな。ウッド、無理はするなよ」
「大丈夫だよ、メタル兄ちゃん。」
メインコンピュータに自身のプラグを接続する際、メタル兄ちゃんが声をかけてくれた
任務の時のメタル兄ちゃんは本当に格好いい
もちろん普段のメタル兄ちゃんも優しくて僕は好きだけど、任務の時のメタル兄ちゃんに僕は密かに憧れている
「……僕、絶対にこの任務を成功させたいんだ。」
情報によるとこの工場のせいでたくさんの自然が傷付いていることがわかった
工場から流れる廃棄物は風を汚し、水を濁らせ、土を侵していた
そのことを知ったからこそ、僕はこの任務を成功させたい、この工場を無くすことで自然を守りたいと思った
「………そうか。まぁ失敗の確率は低い。気を抜かなければ大丈夫だろう。じゃあ、頼んだぞ」
「うん。兄ちゃんも気をつけて」
メタル兄ちゃんがコンピュータにハッキングし電子の世界に潜り込む
僕はリーフシールドを発動させた
最初こそ大量にガードロボットが襲いかかってきたけど、じきにその数もまばらになっていった
「お前達…!な…何をしている!!」
「?!」
いきなり金切り声が響いた
見れば、武器を構えた人間が震えながら僕らに対峙していた
(まだ人間が残ってたんだ…)
奇襲をかける際、人間は全て逃がしたと思っていた
僕らが攻撃出来るのはロボットであり、人間には攻撃をしないというのが僕らの中の暗黙の了解だった
「何をしていると聞いているんだ!!答えろ!」
ヒステリックに叫ぶ男は白衣を着ていた
きっと研究者なのだろう
ちらりとメタル兄ちゃんに目を向けると、まだ電子の中にいるようで男の存在自体に気付いていないようだ
「早く逃げた方がいいよ。この工場、もうすぐ爆破されるから。」
「なんだと?!」
僕の言葉に男の顔色がかわる
きっと今頃クラッシュ兄ちゃんが嬉々としてクラッシュボムを工場内に設置しているだろう
「お前達は一体何者だ…?!何の理由があってそんな事を……」
「おしゃべりな人なんだね。理由なんて聞いてどうするの?こんな工場、なくなった方が世界の為なのに!」
僕の中で小さな苛立ちが生まれた
無意識に声が大きくなる
この男が逃げない限り、この工場を破壊することは出来ない
逃がしてあげるって言ってるんだからはやく逃げればいいのに
「お前達…そんなことしてどうなるかわかっているのか?!ここで働く何百もの人間が職を失うことになるんだぞ?!」
「そんなこと、僕らには関係ないよ。だって僕らは、壊してこいって言われただけだもの。」
(ワイリー博士の言うことに、間違いなんてない!)
先ほど生まれた小さな苛立ちがどんどん膨れあがってくる
「こんな工場……無くなっちゃえばいいんだ!この工場のせいで…自然がどんどん傷付いていく…」
自然を汚す人間がどうなろうと僕の知ったことではない
本当なら、人間ごとこの工場を壊してしまいたいくらいだ
「………お前達がしてることだって、同じ事だ…」
それまでヒステリックに喚いていた男が不気味な笑みを浮かべた
「自然が傷付く?だったらお前らはどうなんだ?お前らが作られ、動くまでの過程で、どれほどの資源が使われたのだろうな?」
「………!」
まるで揚げ足取りだ
わかってはいるけど、沸々と怒りが込み上げてきた
男はほら図星だとろう言うようにさらに声を張り上げる
「見ればお前は相当特殊なロボットのようだなぁ。きっと失敗も多かっただろう!お前が作られるまでにだって相当な……」
「うるさい!」
うるさい!うるさい!うるさい!!
僕の中で怒りが噴き出した
人間を攻撃してはいけない、なんてルールは感情回路の暴走のせいで忘れ去られていた
電磁ビットを男に向けて飛ばす
あの森で森林伐採ロボットを壊したようにこの男も壊してしまいたかった
僕の意志によって飛ばされた電磁ビットは男を直撃……するはずだった
男に電磁ビットが当たる直前、いきなり僕は腕を捕まれ、思わずコントロールを誤ってしまった
「ウッド。」
落ち着いた声が僕を呼ぶ
紅い装甲の兄が、僕の腕を掴んでいた
「メタル…兄ちゃん…」
「任務完了だ。戻るぞ。」
メタル兄ちゃんの声は落ち着いたものだった
そこに僕を咎める色はない
兄ちゃんがちらりとへたり込んでしまった男へ目を向ける
冷酷さを含んだ紅い瞳に見つめられ男はひっと短い悲鳴をあげた
「俺はこいつのように優しくはないからな。“わざと”攻撃を外して逃がすことなんかしないぞ。」
そう言ってメタルブレードを構える
「今すぐにここから逃げだせ。それが嫌ならこの場で真っ二つに切られる事になるな。」
すっとメタル兄ちゃんが目を細め、ブレードを男に向けて投げる
ブレードは男には当たらず、男の持っていた銃のような武器を鋭い刃によって綺麗に切断した
それを見た男は情けない悲鳴とともに武器を捨てて逃げ出した
「…あれだけ脅せば逃げるだろう。さぁ、帰るぞ。」
「うん…。」
メタル兄ちゃんの後に続き部屋を出る
それからクイック兄ちゃんとクラッシュ兄ちゃんと合流して工場の外へと避難した
クラッシュ兄ちゃんが工場内のあらゆる所に設置した全てのボムに爆破信号を送る
凄まじい爆破音と共に工場はただの瓦礫と化した
「メタル兄ちゃん、ごめんなさい…」
任務から帰る途中、僕は兄ちゃんに声をかけた
男の揚げ足取りな発言に乗せられて感情回路を暴走させた結果、僕たちの中で暗黙の了解とされていた 人間を攻撃しない というルールを破ってしまった
決まりを守れなかった僕を兄ちゃんは咎めなかった
そのことが、また僕を悲しい気持ちにさせた
(僕のこと、嫌いになったのかな……)
メタル兄ちゃんは優しいけど、僕らがしてはいけない事をしたらちゃんと怒る
僕らに対してはそうやって怒ってくれるし、それが僕らの為だってこともわかってる
「ごめんなさい……」
兄ちゃんは何も言わずに僕を見つめている
だけどやはり咎めの色は見つからない
僕はますます悲しくなって俯く
視界が滲み、泣き出しそうだった
「ウッド。」
僕の名前を呼ぶ声は静かだった
そのことがまた僕を不安にさせた
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
僕は謝ることしか出来なかった
やっぱり兄ちゃんは僕に失望したのだろうか
感情の制御もロクに出来ないロボットなんて……
「ウッド。お前が謝ることなんて何もないはずだ」
「え……?」
兄ちゃんの言葉に顔を上げると兄ちゃんは困ったような顔をしていた
「任務は成功した。お前が謝ることはないだろう?」
「でも…僕、人間を攻撃して……いけないことだってわかってたのに…」
兄ちゃんが僕の腕を掴んで止めてくれなかったらあの男は死んでいただろう
「あの男の口車に乗せられて、感情回路を暴走させて……兄弟のルール、破っちゃった…」
「お前はなにも間違ったことなんてしていない。」
すっと兄ちゃんの腕が伸びてきて僕の頭をポンと撫でる
「ウッド。感情の暴走は、俺たち兄弟誰にでも有り得ることだ。俺たちは、そういう風に作られたんだからな。」
「でも……でも僕はあの男を殺そうとした…!いくらそういう風に出来てるからって…」
「それを止めるのが俺の義務だ。」
僕の言葉を遮るように兄ちゃんが続ける
「俺だけじゃない。他の兄弟誰であろうと、感情回路が暴走したら、それを止めるのは他の兄弟の義務だ。それにな……」
僕を見上げる紅は優しい
だけど揺らぐことのない強さがそこにあった
「お前は普段から我慢し過ぎだ。お前だって、もっと怒ってもいいし、泣き喚いたってかまわない。お前だって、我が儘を言って俺たちを困らせてもいいし甘えたっていい。俺はもちろん、エアーも、バブルも、クイックも、クラッシュもフラッシュもヒートも……みんなお前に頼って欲しいんだ。」
メタル兄ちゃんの言葉がじんわりと体に染み込んでゆく
その暖かさと、先ほどまで抱えていた不安がゆっくり混じり合い、ポロリとアイから冷却水が零れた
「みんな…僕のこと嫌いになったりしない……?」
「ああ。そんなことは有り得ない。お前は俺たちの、大切な弟なんだからな。」
その後のことはよく覚えていない
起動してからはじめて、僕は大声で泣いた
先を歩いてたクイック兄ちゃんとクラッシュ兄ちゃんが驚いて戻ってくるほどだった
クイック兄ちゃんはメタル兄ちゃんに詰め寄り、なにウッドを泣かしてんだ!とブーメランを飛ばそうとしたから、僕は泣きながら違うよ違うよと否定した。
クラッシュ兄ちゃんは、オロオロしながらどうした?どこか壊れたのか?メタルにいじめられたのか?とやはりメタル兄ちゃんに向かってドリルを回しだしたので、大丈夫だよ、メタル兄ちゃんは悪くないよと必死に説明した
帰ってからもなかなか泣き止めなかった僕を兄弟みんなが気にかけてくれた
エアー兄ちゃんはどこかエラーが発生したんじゃないかと心配し、バブル兄ちゃんはなにかを察したのか、ま、そういう時もあるよね。でも悪いことじゃないよ。と頭を撫でてくれた。
フラッシュ兄ちゃんは何故かクイック兄ちゃんと喧嘩をはじめ(どうやら僕が原因らしい)、ヒートは何故僕と一緒に泣き出し、それを見てまたクラッシュ兄ちゃんはオロオロしはじめた。
ワイリー博士とメタル兄ちゃんはそんな様子を呆れたように、だけどなんだか嬉しそうに眺めていた
その日、ワイリー城はとても騒がしかったけど、僕にとっては忘れられない1日になった
(だって僕はこんなににも愛されているって実感出来たんだもの!)
++++++++++++++++++
中途半端に長くて読みにくくてすみません…
要するに、ブチギレウッドが書きたかったんだ←
ウッドは普段、落ち着いてるけど、末っ子なんだよってことです。
普段はそうでもないけどちゃんと末っ子のウッドが書きたかったんだ
その朝も僕は森に来ていた
毎日、近くの森に行って異常がないか確認するのは僕の日課になっている
朝の森の空気は澄み渡り木漏れ日が降り注ぎ足取りも軽くなる
様々な鳥の囀り、草花のにおい
僕はこの森が大好きだった
(あれ……?)
しばらく進むと聴覚センサーがなにか不自然な音を捉えた
甲高い金属音にかすかにオイルのようなにおいもする
(もしかして…!)
聴覚センサーを頼りに音の元へ走る
徐々に大きくなる不協和音
あまりの騒音に聴覚センサーの感度を一つ下げる
「…………!」
音の正体は工業用の森林伐採ロボットだった
電動ノコギリのような腕で、大切な森の木を削っている
「やめてよ!」
考える間もなく僕はリーフシールドを発動させた
電磁ビットを飛ばし、ロボットに攻撃する
ロボットがそれをかわせるはずもなく、まともに僕の攻撃をうけたロボットは機能を停止させた
その時の僕の中では、このロボットに対する怒りと、森を守れたという達成感が複雑に入り混じっていた
*******
その日の任務は、メタル兄ちゃんとクイック兄ちゃん、クラッシュ兄ちゃん、僕での4人の任務だった
任務内容はある工場のデータ奪取及び工場の破壊だった
事前データによるとそれなりに規模の大きな工場で、ガードロボットの数も多い
クイック兄ちゃんとクラッシュ兄ちゃんはガードロボットの排除、僕はメタル兄ちゃんがメインコンピュータからデータを読み込みメモリに保存するまでリーフシールドでメタル兄ちゃんを守る、最後にクラッシュ兄ちゃんがボムで工場を破壊するというのが今回の作戦だった
「予想以上にガードロボの数が多いな。ウッド、無理はするなよ」
「大丈夫だよ、メタル兄ちゃん。」
メインコンピュータに自身のプラグを接続する際、メタル兄ちゃんが声をかけてくれた
任務の時のメタル兄ちゃんは本当に格好いい
もちろん普段のメタル兄ちゃんも優しくて僕は好きだけど、任務の時のメタル兄ちゃんに僕は密かに憧れている
「……僕、絶対にこの任務を成功させたいんだ。」
情報によるとこの工場のせいでたくさんの自然が傷付いていることがわかった
工場から流れる廃棄物は風を汚し、水を濁らせ、土を侵していた
そのことを知ったからこそ、僕はこの任務を成功させたい、この工場を無くすことで自然を守りたいと思った
「………そうか。まぁ失敗の確率は低い。気を抜かなければ大丈夫だろう。じゃあ、頼んだぞ」
「うん。兄ちゃんも気をつけて」
メタル兄ちゃんがコンピュータにハッキングし電子の世界に潜り込む
僕はリーフシールドを発動させた
最初こそ大量にガードロボットが襲いかかってきたけど、じきにその数もまばらになっていった
「お前達…!な…何をしている!!」
「?!」
いきなり金切り声が響いた
見れば、武器を構えた人間が震えながら僕らに対峙していた
(まだ人間が残ってたんだ…)
奇襲をかける際、人間は全て逃がしたと思っていた
僕らが攻撃出来るのはロボットであり、人間には攻撃をしないというのが僕らの中の暗黙の了解だった
「何をしていると聞いているんだ!!答えろ!」
ヒステリックに叫ぶ男は白衣を着ていた
きっと研究者なのだろう
ちらりとメタル兄ちゃんに目を向けると、まだ電子の中にいるようで男の存在自体に気付いていないようだ
「早く逃げた方がいいよ。この工場、もうすぐ爆破されるから。」
「なんだと?!」
僕の言葉に男の顔色がかわる
きっと今頃クラッシュ兄ちゃんが嬉々としてクラッシュボムを工場内に設置しているだろう
「お前達は一体何者だ…?!何の理由があってそんな事を……」
「おしゃべりな人なんだね。理由なんて聞いてどうするの?こんな工場、なくなった方が世界の為なのに!」
僕の中で小さな苛立ちが生まれた
無意識に声が大きくなる
この男が逃げない限り、この工場を破壊することは出来ない
逃がしてあげるって言ってるんだからはやく逃げればいいのに
「お前達…そんなことしてどうなるかわかっているのか?!ここで働く何百もの人間が職を失うことになるんだぞ?!」
「そんなこと、僕らには関係ないよ。だって僕らは、壊してこいって言われただけだもの。」
(ワイリー博士の言うことに、間違いなんてない!)
先ほど生まれた小さな苛立ちがどんどん膨れあがってくる
「こんな工場……無くなっちゃえばいいんだ!この工場のせいで…自然がどんどん傷付いていく…」
自然を汚す人間がどうなろうと僕の知ったことではない
本当なら、人間ごとこの工場を壊してしまいたいくらいだ
「………お前達がしてることだって、同じ事だ…」
それまでヒステリックに喚いていた男が不気味な笑みを浮かべた
「自然が傷付く?だったらお前らはどうなんだ?お前らが作られ、動くまでの過程で、どれほどの資源が使われたのだろうな?」
「………!」
まるで揚げ足取りだ
わかってはいるけど、沸々と怒りが込み上げてきた
男はほら図星だとろう言うようにさらに声を張り上げる
「見ればお前は相当特殊なロボットのようだなぁ。きっと失敗も多かっただろう!お前が作られるまでにだって相当な……」
「うるさい!」
うるさい!うるさい!うるさい!!
僕の中で怒りが噴き出した
人間を攻撃してはいけない、なんてルールは感情回路の暴走のせいで忘れ去られていた
電磁ビットを男に向けて飛ばす
あの森で森林伐採ロボットを壊したようにこの男も壊してしまいたかった
僕の意志によって飛ばされた電磁ビットは男を直撃……するはずだった
男に電磁ビットが当たる直前、いきなり僕は腕を捕まれ、思わずコントロールを誤ってしまった
「ウッド。」
落ち着いた声が僕を呼ぶ
紅い装甲の兄が、僕の腕を掴んでいた
「メタル…兄ちゃん…」
「任務完了だ。戻るぞ。」
メタル兄ちゃんの声は落ち着いたものだった
そこに僕を咎める色はない
兄ちゃんがちらりとへたり込んでしまった男へ目を向ける
冷酷さを含んだ紅い瞳に見つめられ男はひっと短い悲鳴をあげた
「俺はこいつのように優しくはないからな。“わざと”攻撃を外して逃がすことなんかしないぞ。」
そう言ってメタルブレードを構える
「今すぐにここから逃げだせ。それが嫌ならこの場で真っ二つに切られる事になるな。」
すっとメタル兄ちゃんが目を細め、ブレードを男に向けて投げる
ブレードは男には当たらず、男の持っていた銃のような武器を鋭い刃によって綺麗に切断した
それを見た男は情けない悲鳴とともに武器を捨てて逃げ出した
「…あれだけ脅せば逃げるだろう。さぁ、帰るぞ。」
「うん…。」
メタル兄ちゃんの後に続き部屋を出る
それからクイック兄ちゃんとクラッシュ兄ちゃんと合流して工場の外へと避難した
クラッシュ兄ちゃんが工場内のあらゆる所に設置した全てのボムに爆破信号を送る
凄まじい爆破音と共に工場はただの瓦礫と化した
「メタル兄ちゃん、ごめんなさい…」
任務から帰る途中、僕は兄ちゃんに声をかけた
男の揚げ足取りな発言に乗せられて感情回路を暴走させた結果、僕たちの中で暗黙の了解とされていた 人間を攻撃しない というルールを破ってしまった
決まりを守れなかった僕を兄ちゃんは咎めなかった
そのことが、また僕を悲しい気持ちにさせた
(僕のこと、嫌いになったのかな……)
メタル兄ちゃんは優しいけど、僕らがしてはいけない事をしたらちゃんと怒る
僕らに対してはそうやって怒ってくれるし、それが僕らの為だってこともわかってる
「ごめんなさい……」
兄ちゃんは何も言わずに僕を見つめている
だけどやはり咎めの色は見つからない
僕はますます悲しくなって俯く
視界が滲み、泣き出しそうだった
「ウッド。」
僕の名前を呼ぶ声は静かだった
そのことがまた僕を不安にさせた
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
僕は謝ることしか出来なかった
やっぱり兄ちゃんは僕に失望したのだろうか
感情の制御もロクに出来ないロボットなんて……
「ウッド。お前が謝ることなんて何もないはずだ」
「え……?」
兄ちゃんの言葉に顔を上げると兄ちゃんは困ったような顔をしていた
「任務は成功した。お前が謝ることはないだろう?」
「でも…僕、人間を攻撃して……いけないことだってわかってたのに…」
兄ちゃんが僕の腕を掴んで止めてくれなかったらあの男は死んでいただろう
「あの男の口車に乗せられて、感情回路を暴走させて……兄弟のルール、破っちゃった…」
「お前はなにも間違ったことなんてしていない。」
すっと兄ちゃんの腕が伸びてきて僕の頭をポンと撫でる
「ウッド。感情の暴走は、俺たち兄弟誰にでも有り得ることだ。俺たちは、そういう風に作られたんだからな。」
「でも……でも僕はあの男を殺そうとした…!いくらそういう風に出来てるからって…」
「それを止めるのが俺の義務だ。」
僕の言葉を遮るように兄ちゃんが続ける
「俺だけじゃない。他の兄弟誰であろうと、感情回路が暴走したら、それを止めるのは他の兄弟の義務だ。それにな……」
僕を見上げる紅は優しい
だけど揺らぐことのない強さがそこにあった
「お前は普段から我慢し過ぎだ。お前だって、もっと怒ってもいいし、泣き喚いたってかまわない。お前だって、我が儘を言って俺たちを困らせてもいいし甘えたっていい。俺はもちろん、エアーも、バブルも、クイックも、クラッシュもフラッシュもヒートも……みんなお前に頼って欲しいんだ。」
メタル兄ちゃんの言葉がじんわりと体に染み込んでゆく
その暖かさと、先ほどまで抱えていた不安がゆっくり混じり合い、ポロリとアイから冷却水が零れた
「みんな…僕のこと嫌いになったりしない……?」
「ああ。そんなことは有り得ない。お前は俺たちの、大切な弟なんだからな。」
その後のことはよく覚えていない
起動してからはじめて、僕は大声で泣いた
先を歩いてたクイック兄ちゃんとクラッシュ兄ちゃんが驚いて戻ってくるほどだった
クイック兄ちゃんはメタル兄ちゃんに詰め寄り、なにウッドを泣かしてんだ!とブーメランを飛ばそうとしたから、僕は泣きながら違うよ違うよと否定した。
クラッシュ兄ちゃんは、オロオロしながらどうした?どこか壊れたのか?メタルにいじめられたのか?とやはりメタル兄ちゃんに向かってドリルを回しだしたので、大丈夫だよ、メタル兄ちゃんは悪くないよと必死に説明した
帰ってからもなかなか泣き止めなかった僕を兄弟みんなが気にかけてくれた
エアー兄ちゃんはどこかエラーが発生したんじゃないかと心配し、バブル兄ちゃんはなにかを察したのか、ま、そういう時もあるよね。でも悪いことじゃないよ。と頭を撫でてくれた。
フラッシュ兄ちゃんは何故かクイック兄ちゃんと喧嘩をはじめ(どうやら僕が原因らしい)、ヒートは何故僕と一緒に泣き出し、それを見てまたクラッシュ兄ちゃんはオロオロしはじめた。
ワイリー博士とメタル兄ちゃんはそんな様子を呆れたように、だけどなんだか嬉しそうに眺めていた
その日、ワイリー城はとても騒がしかったけど、僕にとっては忘れられない1日になった
(だって僕はこんなににも愛されているって実感出来たんだもの!)
++++++++++++++++++
中途半端に長くて読みにくくてすみません…
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普段はそうでもないけどちゃんと末っ子のウッドが書きたかったんだ
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