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腐った方向に愛をぶちまけるブログです。
たいてい腐ってます。
はじめましての方はカテゴリー内「初めにお読みください」の記事を読んでください。
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(クラッシュと見知らぬロボット)
(#1の続きです。そしてさらに続きます。)
その場所は広場のようにひらけていた
少女とクラッシュのまわりをぐるりと囲む木々は、まるで2人を守っているかのように感じられた
木々の守り、足元に咲き乱れる真っ白な花々、柔らかな月明かり
(やさしいばしょだな…)
月明かりに照らされ淡く輝く少女の髪(きっと作りものなのだろうけれど)をぼんやりと見つめながらクラッシュは思った
「ねぇ、きみはどうしてここに来たの?もしかして迷子さん?」
少女に呼ばれ、少女に近寄ると彼女は嬉しそうにクラッシュに質問を投げかけた
近くでみる少女型のロボットは、とても小さく、華奢な作りだった
自分とは違い、丸みを帯びた素体は装甲をつけておらず人間のように服を着ていた
人工皮膚が剥がれていなかったらきっと人間にしか見えないだろう
(すぐに壊れちゃいそうだな)
自分や兄弟のような戦闘用ロボットを見慣れているクラッシュは少女の姿にそう印象を抱いた
「きみ……ヒューマノイドだけど喋れないロボットなの?」
「………しゃべれる。」
声に出してみたがクラッシュの中には小さな不安が生まれていた
クラッシュは兄弟や博士以外のロボットや人間と話したことがなかったからだ
自分の言葉が果たして言葉として少女に伝わっているのか不安になったのだ
しかしそんな不安はにっこり微笑んだ少女によって振り払われる
「よかった。わたしひとりで話をしてても楽しくないもの。ねぇ、もっときみの声をきかせて?」
それから二人は様々なことを話した
と言ってもほとんど少女が話をして、クラッシュはそれを聞いていたほうが多かったが、クラッシュはそれでも楽しいと思った
楽しそうに話す少女を見て嬉しいとも感じた
少女は家庭用ロボットとして作られた
あの研究所で自分の創造主と共に暮らしていたが、創造主が死んで何年もひとりでいたらしい
あまりにも暇だからこうやってたまに森にきて歌っているの
そう言った彼女の表情は少し寂しそうだった
クラッシュはこの子が研究所にいなくてよかったと思った
(もし研究所にいたら壊してた…おれのしごとだし)
「きみはなんでこんなところに来たの?この辺にはなにもないじゃない」
「研究所の調査にきた。あと、壊していいって…」
クラッシュの言葉に少女の表情が変わった
自分の両腕のドリルを見つめて表情を曇らせる少女の様子に、クラッシュは自分の発言が少女を傷つけたとわかった
「そうだよね……。あの研究所、今ではもう何にも使えないし……。仕方ないよね…。」
少女はクラッシュを工業用ロボットだと思い込んでいた
きっとあの研究所は壊されて新しい建物が立てられるのだと考えたようだ
「壊さない。」
「え……?」
だからクラッシュがまっすぐ自分を見つめながら言った言葉に聴覚センサーの異常かと疑うほど驚いた
「壊さないよ。」
「なんで…?」
「あんたが壊して欲しくないって思ってるから。」
綺麗なエメラルドグリーンのアイがまっすぐ自分を見つめる
少女に対して口数の少ないクラッシュだったがその目が嘘をついてるものとは思えなかった
「ありがとう!」
顔をくしゃくしゃにして喜ぶ少女をみてクラッシュは嬉しくなった
(おれのことばでよろこんでる!)
少女につられるようにクラッシュも笑った
『おい!クラッシュ!てめぇどこほっつき歩いてんだ!!』
しばらくしてフラッシュからの通信が入った
様子からして相当怒っている
「うげ……」
「どうしたの?」
通信を切断し無視してしまおうかとしていると様子に気づいた少女が不思議そうに尋ねてくる
「通信はいった。すげぇ怒ってる……切っちゃえ」
「駄目だよ!きみ、お仕事中だったんでしょ?きっときみのこと心配してるんだよ!」
少女に止められしぶしぶ通話回線に切り替える
「……なに?」
『なにじゃねぇよ馬鹿!任務中どこほっつき歩いてんだ!』
「フラッシュうるさい…」
回線から聞こえるフラッシュの怒鳴り声に眉をひそめる
『んだと…?お前俺が勝手にフラフラすんなって言ったの忘れたのかよ?』
「? そうだっけ?」
そういえば研究所に入る前にそんなことを言ってた気もする
しかし壊しがいのありそうな研究所に胸を躍らせていたクラッシュはまともに聞いてはいなかったのだろう
『このトリ頭!!いいから早く戻ってこい!メタルに怒られるのは俺なんだからな!』
「フラッシュのケチ。ハゲ。メタルブレード投げられてティウれ。」
『ンだと…………!!!』
フラッシュがさらなる罵声をあげる前にクラッシュは回線を切断した
「フラッシュがうるさいからそろそろ戻るな」
「ごめんね…。わたしが引き止めちゃったから…」
申し訳そうにしょげる少女をクラッシュは不思議そうに見つめる
「あんたのせいじゃないよ。ここに来たのはおれだし、おれがあんたと話したいから残ったんだし。」
「ごめんね…」
なおも謝る少女にクラッシュは心底不思議だと思った
「なぁ、またここに来ていいか?」
「えっ…?」
クラッシュの言葉に少女は顔を上げる
「また話、したいし…」
首を傾げなおも尋ねてくるクラッシュ
やはり嘘を言ってるようには思えない
少女は悩んでいるように見えた
「駄目か?」
「……また…!またお話しよう!わたしはたいてい研究所にいるから!」
「おう!」
そう応え笑うクラッシュにつられ、今度は少女が微笑んだ
(ふたつの笑顔と確かな約束)
++++++++++++
意外に長くなりました。
「フラッシュのケチ。ハゲ。メタルブレード投げられてティウれ。」
↑をクラッシュに言わせられたので満足です\(^o^)/
(#1の続きです。そしてさらに続きます。)
その場所は広場のようにひらけていた
少女とクラッシュのまわりをぐるりと囲む木々は、まるで2人を守っているかのように感じられた
木々の守り、足元に咲き乱れる真っ白な花々、柔らかな月明かり
(やさしいばしょだな…)
月明かりに照らされ淡く輝く少女の髪(きっと作りものなのだろうけれど)をぼんやりと見つめながらクラッシュは思った
「ねぇ、きみはどうしてここに来たの?もしかして迷子さん?」
少女に呼ばれ、少女に近寄ると彼女は嬉しそうにクラッシュに質問を投げかけた
近くでみる少女型のロボットは、とても小さく、華奢な作りだった
自分とは違い、丸みを帯びた素体は装甲をつけておらず人間のように服を着ていた
人工皮膚が剥がれていなかったらきっと人間にしか見えないだろう
(すぐに壊れちゃいそうだな)
自分や兄弟のような戦闘用ロボットを見慣れているクラッシュは少女の姿にそう印象を抱いた
「きみ……ヒューマノイドだけど喋れないロボットなの?」
「………しゃべれる。」
声に出してみたがクラッシュの中には小さな不安が生まれていた
クラッシュは兄弟や博士以外のロボットや人間と話したことがなかったからだ
自分の言葉が果たして言葉として少女に伝わっているのか不安になったのだ
しかしそんな不安はにっこり微笑んだ少女によって振り払われる
「よかった。わたしひとりで話をしてても楽しくないもの。ねぇ、もっときみの声をきかせて?」
それから二人は様々なことを話した
と言ってもほとんど少女が話をして、クラッシュはそれを聞いていたほうが多かったが、クラッシュはそれでも楽しいと思った
楽しそうに話す少女を見て嬉しいとも感じた
少女は家庭用ロボットとして作られた
あの研究所で自分の創造主と共に暮らしていたが、創造主が死んで何年もひとりでいたらしい
あまりにも暇だからこうやってたまに森にきて歌っているの
そう言った彼女の表情は少し寂しそうだった
クラッシュはこの子が研究所にいなくてよかったと思った
(もし研究所にいたら壊してた…おれのしごとだし)
「きみはなんでこんなところに来たの?この辺にはなにもないじゃない」
「研究所の調査にきた。あと、壊していいって…」
クラッシュの言葉に少女の表情が変わった
自分の両腕のドリルを見つめて表情を曇らせる少女の様子に、クラッシュは自分の発言が少女を傷つけたとわかった
「そうだよね……。あの研究所、今ではもう何にも使えないし……。仕方ないよね…。」
少女はクラッシュを工業用ロボットだと思い込んでいた
きっとあの研究所は壊されて新しい建物が立てられるのだと考えたようだ
「壊さない。」
「え……?」
だからクラッシュがまっすぐ自分を見つめながら言った言葉に聴覚センサーの異常かと疑うほど驚いた
「壊さないよ。」
「なんで…?」
「あんたが壊して欲しくないって思ってるから。」
綺麗なエメラルドグリーンのアイがまっすぐ自分を見つめる
少女に対して口数の少ないクラッシュだったがその目が嘘をついてるものとは思えなかった
「ありがとう!」
顔をくしゃくしゃにして喜ぶ少女をみてクラッシュは嬉しくなった
(おれのことばでよろこんでる!)
少女につられるようにクラッシュも笑った
『おい!クラッシュ!てめぇどこほっつき歩いてんだ!!』
しばらくしてフラッシュからの通信が入った
様子からして相当怒っている
「うげ……」
「どうしたの?」
通信を切断し無視してしまおうかとしていると様子に気づいた少女が不思議そうに尋ねてくる
「通信はいった。すげぇ怒ってる……切っちゃえ」
「駄目だよ!きみ、お仕事中だったんでしょ?きっときみのこと心配してるんだよ!」
少女に止められしぶしぶ通話回線に切り替える
「……なに?」
『なにじゃねぇよ馬鹿!任務中どこほっつき歩いてんだ!』
「フラッシュうるさい…」
回線から聞こえるフラッシュの怒鳴り声に眉をひそめる
『んだと…?お前俺が勝手にフラフラすんなって言ったの忘れたのかよ?』
「? そうだっけ?」
そういえば研究所に入る前にそんなことを言ってた気もする
しかし壊しがいのありそうな研究所に胸を躍らせていたクラッシュはまともに聞いてはいなかったのだろう
『このトリ頭!!いいから早く戻ってこい!メタルに怒られるのは俺なんだからな!』
「フラッシュのケチ。ハゲ。メタルブレード投げられてティウれ。」
『ンだと…………!!!』
フラッシュがさらなる罵声をあげる前にクラッシュは回線を切断した
「フラッシュがうるさいからそろそろ戻るな」
「ごめんね…。わたしが引き止めちゃったから…」
申し訳そうにしょげる少女をクラッシュは不思議そうに見つめる
「あんたのせいじゃないよ。ここに来たのはおれだし、おれがあんたと話したいから残ったんだし。」
「ごめんね…」
なおも謝る少女にクラッシュは心底不思議だと思った
「なぁ、またここに来ていいか?」
「えっ…?」
クラッシュの言葉に少女は顔を上げる
「また話、したいし…」
首を傾げなおも尋ねてくるクラッシュ
やはり嘘を言ってるようには思えない
少女は悩んでいるように見えた
「駄目か?」
「……また…!またお話しよう!わたしはたいてい研究所にいるから!」
「おう!」
そう応え笑うクラッシュにつられ、今度は少女が微笑んだ
(ふたつの笑顔と確かな約束)
++++++++++++
意外に長くなりました。
「フラッシュのケチ。ハゲ。メタルブレード投げられてティウれ。」
↑をクラッシュに言わせられたので満足です\(^o^)/
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