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鋼の長兄とポッポーと次男を愛する腐れ女子
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(FCでおやすみのちゅー)















「なあなあフラッシュ!おれ、もう寝るぞ!」

いつものように自室で寛いでいた時だった
何だかよくわからないがクラッシュが俺の部屋へやってきて俺は寝るぞ宣言をしてきた
部屋に入る時にはノックぐらいしろと言いたかったが、言葉を飲み込む
以前同じように文句を言ったクイックの部屋の扉が可哀想なくらいへこんでいたのを思い出したからだ
コイツのノックの破壊力は未知数だ


「おれ、寝るんだけど!」

「おう、そうか。おやすみ」

至って普通に返事をしたのに何故かクラッシュの顔は不満げだ
どすどすと俺に近寄り、椅子に座っている俺の上にどかりと遠慮無しに座り込む
二人分の体重に俺の座っている椅子が悲鳴をあげた



「俺は椅子じゃねぇぞ」
「そんなこと知ってるし!」


俺と向かい合う形で俺を椅子代わりにしたクラッシュ
やはりその表情は不機嫌だ
重いから退けと言ってやりたいが、この状況でその発言は非常に危険だ
これ以上コイツが不機嫌になったら間違いなく俺はティウる
下手すりゃエアーが出動する事態にまで発展するだろう
こんな時間に、休んでいる次兄の手を煩わせてはいけない
空気の読める俺はなんとかクラッシュの機嫌を取り戻そうとポンポンと奴の頭を撫でる


「どうしたんだ?クラッシュ」


努めて優しく尋ねる
全ては次兄の為だ
決して俺は自分がティウるのを防ぎたいが為ではない
俺は兄想いなだけだ



「ちゅー」

「はっ…?」


いい加減この状況に嫌気がさして少々思考がぶっ飛んでたようだ
すまんクラッシュ、よく聞こえなかった
ワンモアプリーズ

そんな視線を向ければ仕方ないなとフンと鼻を鳴らすクラッシュ
若干イラッとしたような気もしたが、俺の心は海より広い
流石クラッシュ!俺の視線だけで察するとは!以心伝心だな!と思うようにする


「だから、おやすみのちゅーだ!」

「はぁっ?」



どうやら俺とクラッシュは以心伝心出来ても会話は出来ていないらしい
意味がわからない
いや、言葉の意味はわかるが、コイツの意図がわからない



「寝る前には、おやすみのちゅーをするんだよ!」


フラッシュそんなことも知らないのか?と何故か得意気なクラッシュにイラッと……………いや、我慢だ俺…俺の心は海より広いんだろう


「お前……どこでそんな知識を……」

「さっきテレビでやってた!」



最近のテレビはもう少し自重するべきだ
もしこの場に番組製作者がいたらタイムストッパー食らわせて俺の心の大海原に沈めてやりたい



「なあ!だからちゅー!」

「ヤだよ」


いいか、クラッシュ
お前は今、番組製作者によって踊らされているんだ
メディアの情報操作の被害者になってはいけない
テレビの情報を鵜呑みにするとロクなことにならないぞ

そんな想いを込めての、嫌だ だったが、クラッシュには通じなかったらしい
ぷくっと頬を膨らませ、また不機嫌面になる

先ほどまでの以心伝心っぷりはどうした
ちゃんと伝心しやがれ




「じゃあいいよ!クラッシュのハゲ!」

「テメェ、いちいち容赦無さ過ぎなんだよ!ちったぁ遠慮しろ!」


どうやら俺の心はそれほど広く無かったらしい
規模的には湖くらいだろうか
まあ水たまり程度のクラッシュの心に比べれば広すぎる


「いいよ!メタルにちゅーしてもらうから!」

「…………………待て。」


ぴょんと俺の上から飛び降り、部屋の扉に突進する勢いのクラッシュの腕をとっさに掴む



「今、なんとおっしゃいましたか?」

「メタルにちゅーしてもらうから」

「駄目だ!」


中学英語の模範回答訳のような俺の質問に素直に答えるクラッシュ


「なんでだめなんだ?」

「いや…メタルは………とにかく駄目だ!ほら、あいつブラコンが病気だし!」



心底不思議そうなクラッシュ
ああもう!そんな目で見るな!



「じゃあフラッシュがしてくれるのか?」

「……………………………わかったよ。」


じっと見つめられついに俺の心が折れた
ああ……!なんでこんなことに!

言っておくが、決して下心なんてない
クラッシュがどうしてもっていうから……って俺は誰に言い訳してんだ
しっかりしろ俺



「じゃあフラッシュ!ちゅー!」

「…………。」

満面の笑みでちゅーとか言うんじゃない
ちくしょう…可愛いじゃねぇか……
…じゃねえ!落ち着け、俺
これはおやすみのちゅーだ


ふぅと一息吐き、椅子から立ち上がる
クラッシュの肩に手を置き、屈んで、ちゅっと唇を重ねた






「……これで満足か?」

「…………うん。」


やけにおとなしいと思ってクラッシュに目をやれば、何だかもじもじしている
なんだよ……その反応は……




「なんか………メタルとした時より気持ちよかった…」

「はぁっ…?ってかメタルって…!!」

「あ、おれ、もう寝るから!おやすみ!」

「クラッシュ!」


バタバタと音を立てて俺の部屋を飛び出すクラッシュ

その頬がほんのり赤みがさしていたのを見て、なんとも言えない気持ちになる





「あんな反応するなんて……反則だろうが……」

顔に熱が集まるのを感じながら、俺は情けなく椅子に座り込んだ












(恋のはじまり)





++++++++++++++
書いてて途中で恥ずかしくなった…
ほのぼのかくつもりだったのにな…

微妙に前書いたクイメタとリンクしてます。
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